老犬の床ずれ(褥瘡)予防ガイド|原因と家庭でできるケア方法
老犬の床ずれ(褥瘡)の予防とケア方法を解説。原因、できやすい場所、寝返りのさせ方、体圧分散マットの選び方など、家庭でできることを紹介します。

愛犬がシニアになり、寝ている時間が長くなると、「もしかして床ずれができてしまうのでは?」と心配になる飼い主さんも多いのではないでしょうか。大切な家族だからこそ、できるだけ快適に過ごしてほしいと願うのは自然なことです。
床ずれ(専門的には褥瘡:じょくそう と言います)は、一度できてしまうと治りにくく、愛犬にとってもつらいものです。しかし、正しい知識を持って日々のケアを行うことで、そのリスクを大きく減らすことができます。
この記事では、老犬の床ずれの原因から、ご家庭でできる具体的な予防法、そして万が一できてしまった場合の注意点まで、分かりやすく解説します。
🐾 この記事の要約(3つのポイント)
- 🐾 床ずれは同じ姿勢が続くことで血行が悪くなり、皮膚やその下の組織が傷つく状態です。
- 🐾 予防にはこまめな寝返り(体位変換)と、体圧分散マットの活用がとても効果的です。
- 🐾 皮膚の赤みや脱毛などの初期サインに気づいたら、自己判断せず早めに動物病院へ相談することが大切です。
この記事でわかること
- 老犬に床ずれができる原因と仕組み
- 床ずれの初期サインと特にできやすい体の場所
- 家庭で今日から始められる具体的な予防ケア
- もし床ずれができてしまった場合の注意点と受診の目安
老犬の床ずれ(褥瘡)とは?主な原因と初期サイン
床ずれ(褥瘡)は、長時間同じ姿勢で寝続けることで、体の特定の場所に圧力がかかり続け、その部分の血行が悪くなることで起こります。血流が滞ると、皮膚やその下の組織に十分な酸素や栄養が届かなくなり、組織がダメージを受けてしまうのです。
特に、自分で寝返りを打つことが難しくなったシニア犬や、病気やケガで体を動かせない犬に起こりやすくなります。床ずれは、骨が出っ張っていて、マットレスなどとの間で圧迫されやすい場所にできやすいのが特徴です。
飼い主が気づく最初のサインは、皮膚の赤みです。指で軽く押してみて、離しても赤みが消えない場合は床ずれの初期段階かもしれません。他にも、その部分の毛が抜けたり、皮膚が少し硬くなったりすることもあります。この段階で気づき、ケアを始めることが非常に重要です。
| 観察ポイント | 初期のサイン(注意して観察) | 受診を急ぐサイン |
|---|---|---|
| 皮膚の色 | 押しても消えない赤みが続く | 皮膚が紫色や黒色に変わる |
| 皮膚の状態 | 毛が薄くなる、フケが増える | 皮膚が破れる、じゅくじゅくする |
| におい | 特になし | 傷口から嫌なにおいがする |
| 愛犬の様子 | 気にしていないことが多い | 痛がる、触られるのを嫌がる |
💡 お家でできる飼い主チェックリスト
床ずれを防ぐための4つの基本ケア
床ずれは予防が何よりも大切です。ここでは、ご家庭でできる4つの基本的なケアをご紹介します。愛犬の状態に合わせて、無理のない範囲で取り入れてみてください。
1. こまめな体位変換(寝返り)
床ずれ予防の基本中の基本は、定期的に寝る姿勢を変えてあげることです。同じ場所に圧力がかかり続けないように、2〜4時間に1回程度を目安に、優しく寝返りをさせてあげましょう。
例えば、右半身を下にして寝ていたら、次はお腹を介してそっと左半身が下になるようにします。このとき、手足を無理に引っ張らず、背中やお尻を支えてゆっくりと動かすのがコツです。夜間もタイマーをかけるなどして、できる範囲で行うと効果的です。
2. 体圧分散マットの活用
寝具の工夫も非常に重要です。体圧を一点に集中させず、広い面で体を支えてくれる「体圧分散マット」を使用すると、床ずれのリスクを軽減できます。ペット用の介護マットとして、低反発ウレタン素材やゲル素材のものなどが市販されています。
選ぶ際は、通気性が良く、汚れたときに洗いやすい素材のものがおすすめです。バスタオルや毛布を重ねるだけでは十分な体圧分散は難しいため、専用のマットを検討してみましょう。
3. 皮膚を清潔・乾燥した状態に保つ
皮膚が尿やよだれで濡れたままだと、ふやけて傷つきやすくなり、床ずれの悪化につながります。排泄後はすぐにきれいにし、皮膚を清潔に保つことを心がけましょう。
体を拭く際は、お湯で濡らして固く絞った柔らかいタオルで優しく汚れを拭き取り、その後、乾いたタオルで水分をしっかり押さえるように拭き取ります。ゴシゴシこすると皮膚を傷つける原因になるので注意が必要です。
4. 適切な栄養と水分の管理
健康な皮膚を維持するためには、内側からのケアも欠かせません。バランスの取れた食事で、皮膚の再生に必要なタンパク質やビタミン、ミネラルをしっかり摂取することが大切です。
食欲が落ちている場合や、特定の栄養素を補給したい場合は、かかりつけの獣医師に相談し、食事内容やサプリメントについてアドバイスをもらうと良いでしょう。また、脱水は血行不良の原因にもなるため、新鮮な水をいつでも飲めるようにしておくことも忘れないでください。
床ずれができやすい場所と観察のコツ
床ずれは、脂肪や筋肉が少なく、骨が出っ張っている場所にできやすい傾向があります。愛犬の体をチェックする際は、以下の場所を特に注意して見てあげてください。
- 頬骨(ほおぼね):顔の横側
- 肩甲骨(けんこうこつ):肩のあたり
- 肘(ひじ)
- 腰骨(こしぼね)
- かかと(足首の関節)
観察のコツは、毎日決まった時間に行うことです。例えば、体を拭いてあげる時や、寝返りをさせる時に、明るい場所で毛をかき分けて皮膚の色や状態を直接目で見て確認する習慣をつけましょう。ただ見るだけでなく、優しく触れてみて、熱っぽさや硬さ、愛犬が痛がるそぶりを見せないかなどもチェックすると、より早期の発見につながります。
もし床ずれができてしまったら?家庭での注意点
予防を頑張っていても、床ずれができてしまうこともあります。もし皮膚に赤み以上の変化、例えば皮膚がむけたり、じゅくじゅくしたりしているのを見つけたら、自己判断で薬などを塗らず、まずは動物病院に相談してください。
一見小さな傷に見えても、皮膚の下でダメージが広がっている可能性があります。獣医師の診断を受け、適切な処置をしてもらうことが、悪化を防ぎ、回復を早めるために最も重要です。
動物病院で指示されたケアを行う際は、以下の点に注意しましょう。
- 傷口を清潔に保つ:獣医師の指示に従い、洗浄や消毒を行います。
- 愛犬が傷口を舐めないようにする:エリザベスカラーなどを活用し、傷口を保護します。
- 引き続き体圧分散を徹底する:傷口に圧力がかからないよう、体位変換やクッションの利用を工夫します。
飼い主さんだけで抱え込まず、専門家である獣医師と相談しながら、愛犬にとって最適なケアを進めていきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 床ずれ予防のマットはどんなものが良いですか?
A1. 体圧が分散できる低反発ウレタンやゲル素材のものがおすすめです。愛犬の体重や状態に合わせて、通気性が良く、カバーが洗えるなど手入れがしやすいものを選びましょう。どれが良いか迷う場合は、かかりつけの獣医師に相談するのも良い方法です。
Q2. 寝返りは何時間おきにすれば良いですか?
A2. 一般的には2〜4時間おきが目安とされていますが、これはあくまで目安です。愛犬の体重や皮膚の状態によって最適な間隔は異なります。皮膚に赤みが続くようなら、もう少し短い間隔にするなどの調整が必要です。獣医師の指示に従いましょう。
Q3. 床ずれの部分をマッサージしても良いですか?
A3. 赤くなっている部分や、すでに傷になっている部分を直接マッサージするのは絶対に避けてください。 血行を良くしようとして行うと、かえって組織を傷つけ、症状を悪化させる可能性があります。もし行う場合は、床ずれができていない周りの筋肉を優しく揉む程度にし、必ず獣医師に相談してからにしてください。
Q4. 床ずれは治りますか?
A4. 早期に発見し、適切な治療と日々のケア(体圧分散、清潔の維持など)を行えば、改善が期待できます。しかし、傷が深くなってしまったり、感染を起こしたりすると治療が長引くこともあります。だからこそ、予防と早期発見が何よりも重要になります。
まとめ
老犬の床ずれは、飼い主さんの日々の丁寧なケアによって予防できる可能性が高いものです。この記事のポイントをもう一度確認しましょう。
- 床ずれは、同じ場所への長時間の圧迫による血行不良が原因
- 予防の基本は「こまめな寝返り」と「体圧分散マットの活用」
- 皮膚を「清潔」で「乾燥」した状態に保つことが大切
- 頬骨や肩、腰など骨が出っ張った部分を毎日チェックする
- 皮膚の赤みなど初期サインを見つけたら、すぐに動物病院へ相談
愛犬の介護は、時に不安や大変さを感じることもあるかもしれません。しかし、飼い主さんの一つひとつのケアが、愛犬の快適な時間につながっています。小さな変化を見逃さず、困ったときには一人で悩まずに動物病院を頼ってください。愛犬との穏やかな毎日を支えるために、今日からできるケアを始めてみましょう。
🐾 愛犬・愛猫ケアのミニクイズ!
Q. 老犬の床ずれを予防するために、飼い主がまず始めたいケアは次のうちどれでしょう?
- A) 2〜4時間おきに寝返りを手伝う
- B) 毎日お風呂に入れる
- C) 栄養価の高い人間の食べ物を与える
【正解】 A) 2〜4時間おきに寝返りを手伝う
【解説】 床ずれの最大の原因は、同じ場所への継続的な圧迫です。定期的に寝返りを手伝って体圧を分散させることが、最も基本的で効果的な予防策になります。皮膚の清潔は重要ですが、頻繁すぎる入浴は皮膚を乾燥させ、かえって傷つきやすくする可能性もあります。食事管理も大切ですが、自己判断で人間の食べ物を与えるのではなく、獣医師に相談の上、犬用の適切な食事を選びましょう。
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参考情報
- 獣医学論文
- 大学・公的機関
- 学会・ガイドライン



