犬の耳掃除、外耳炎予防のポイントとは?自宅でできるケアと注意点
犬の耳掃除の正しい方法や、外耳炎の症状、予防策を解説。自宅でのケアと動物病院へ行く目安を知り、愛犬の耳の健康を守りましょう。

犬の耳掃除、外耳炎予防のポイントとは?自宅でできるケアと注意点
「最近、愛犬がしきりに耳を痒がっている」「頭をバタバタと振る回数が増えた気がする……」
このような愛犬の仕草に気づいたことはありませんか?犬の耳トラブルで最も多いのが「外耳炎(がいじえん)」です。犬の耳の穴は人間と違って「L字型」に曲がっており、奥に湿気や汚れがたまりやすく、細菌や真菌(カビ)が爆発的に繁殖しやすい構造をしています。
耳の病気は強い痒みや激しい痛みを伴うため、愛犬にとって大きなストレスになります。この記事では、自宅でできる正しい耳掃除のステップから、外耳炎のリスクが高い犬種、そして絶対にやってはいけないNGケアについて分かりやすく解説します。
🐾 この記事の要約(3つのポイント)
- 🐾 綿棒で奥を擦るのは絶対NG: 犬の耳の皮膚は人間の数倍デリケートです。綿棒を使うと汚れを奥に押し込んだり、耳道を傷つけて外耳炎を悪化させたりします。
- 🐾 洗浄液を注いで「クチュクチュ」が基本: 自宅でのケアは、専用のイヤークリーナーを耳元に注ぎ、付け根をもみほぐして汚れを浮かせる方法が最も安全で効果的です。
- 🐾 異臭や黒い耳垢は病気のサイン: 耳から酸っぱい臭いや生臭い臭いがする、ココアパウダーのような黒・茶色の耳垢が大量に出る場合は、耳ダニ感染やマラセチア皮膚炎の恐れがあり病院受診が必要です。
この記事でわかること
- 犬が耳を痒がる、頭を振る…外耳炎のサインとは
- 正しい犬の耳掃除の基本と注意点
- 外耳炎になりやすい犬の特徴と日頃の予防策
- こんな時は動物病院へ!専門家への相談目安
犬が耳を痒がる、頭を振る…外耳炎のサインとは
犬は耳に違和感や痒み、痛みがあると、言葉の代わりに以下のような行動で飼い主さんにSOSを出します。日常の仕草をチェックしてみましょう。
| チェック項目 | 正常・健康な状態 | 外耳炎などのトラブルサイン |
|---|---|---|
| 仕草・行動 | ときおり体をブルブルさせる程度で、耳を気にせず穏やかに過ごしている。 | 後ろ足で激しく耳の付け根を引っ掻く、頭を片側に傾けて頻繁に激しく振る、耳元を床にこすりつける。 |
| 耳の匂い | ほとんど無臭、またはいつもの体臭がする程度。 | 耳をめくると「酸っぱい臭い」「イースト菌のような臭い」「生臭い腐敗臭」が鼻につく。 |
| 耳垢の状態 | カサカサした薄い黄色〜ベタつかない茶色の耳垢がごく少量ある程度。 | どろっとした黄色い膿のような耳垢、またはコーヒーの粉のような黒・こげ茶色のベタつく耳垢が大量に出る。 |
| 皮膚の様子 | 綺麗な薄ピンク色。触っても痛がらない。 | 内側が真っ赤に充血している、ポツポツとした湿疹がある、触ろうとすると怒ったり悲鳴をあげたりする。 |
💡 お家でできる飼い主チェックリスト
愛犬の耳の健康を守るために、普段のケアやお耳の状態を振り返ってみましょう。正しい犬の耳掃除の基本と注意点
犬の耳掃除は、「目に見える範囲(耳の入り口)の汚れを優しく拭き取るだけ」が鉄則です。良かれと思って綿棒を奥まで差し込むと、汚れを奥の鼓膜付近まで押し固めてしまい、余計に外耳炎を悪化・長期化させる原因になります。
自宅で安全に行える「リキッド(洗浄液)を使った耳掃除」の正しい4ステップをご紹介します。
ステップ1:犬用のイヤークリーナー(洗浄液)を用意する
必ず動物病院やペットショップで販売されている、犬専用の耳洗浄液を使用してください。アルコール分が強すぎるものや、人間用のローションなどは犬の皮膚を激しく刺激するため厳禁です。
ステップ2:耳の穴に洗浄液を数滴注ぐ
愛犬の耳を優しくめくり、耳の穴の中に洗浄液をそっと数滴流し込みます。この時、ボトルの先端が直接耳の皮膚に触れないように少し浮かせて注ぐのが、ボトル内を清潔に保つコツです。
ステップ3:耳の付け根を「クチュクチュ」ともみほぐす
洗浄液を入れたら、耳の穴の付け根(軟骨がある少し硬い部分)を外側から指で優しく挟み、「クチュクチュ」と音がするように5〜10回ほど優しくマッサージします。これにより、L字型に曲がった耳の奥にこびりついた耳垢が、液に溶けてぷかぷかと浮き上がってきます。
ステップ4:犬に頭を振らせて、浮き出た汚れを拭く
手を離すと、犬は自然に頭を激しく「ブルブルッ!」と振ります。この遠心力によって、奥から浮き出た汚れが液と一緒に外側へ弾き飛ばされます。最後に、耳の入り口やシワに付着した汚れと水分を、清潔なコットンやガーゼで優しく吸い取るように拭き取れば完了です。
⚠️ 注意ポイント: 耳掃除の頻度は、健康な子であれば「月に1〜2回」で十分です。綺麗だからといって毎週のように洗浄液を使うと、耳の中の必要な常在菌まで殺してしまい、かえってバリア機能が低下して外耳炎を誘発します。
外耳炎になりやすい犬の特徴と日頃の予防策
外耳炎は、犬の「耳の形」や「体質」によってかかりやすさが大きく左右されます。以下に該当するワンちゃんは、特に念入りな日常チェックが必要です。
- 垂れ耳の犬種(ゴールデン・レトリーバー、コッカー・スパニエル、ダックスフンド、プードルなど) 耳蓋が常に閉じた状態にあるため、耳道の通気性が著しく悪く、内部の温度と湿度が上昇して細菌(ブドウ球菌など)や真菌(マラセチア)の絶好の温床になります。
- アレルギー体質・肌の弱い犬(柴犬、フレンチ・ブルドッグ、ウェスティなど) アレルギー性皮膚炎を抱える犬は、耳の皮膚のバリア機能も弱いため、外耳炎を非常に再発しやすいです。
日常でできる予防策
シャンプーやトリミング、海・川での水遊びの後は、耳の中に水分が残りやすいです。乾燥を促すために、しっかり耳の入り口の水分をコットンで吸い取りましょう。また、耳の毛が密集して生える犬種(プードル、シュナウザー、マルチーズなど)は、定期的にトリミングサロンや動物病院で耳の中の毛を適度にカット、または抜いてもらい、風通しを確保することが強力な予防策になります。
こんな時は動物病院へ!専門家への相談目安
外耳炎は軽度のうちに治療すればお薬(点耳薬)で数日で治ることが多いですが、こじらせて慢性化すると、耳の穴の皮膚が象の皮膚のようにボコボコに肥厚して耳の穴が完全に塞がってしまい、最悪の場合は外科手術で耳道を取り除く大手術が必要になることもあります。
以下のような症状が見られたら、お家での耳掃除は一度ストップし、すぐに動物病院を受診してください。
- 耳を触ろうとすると、怒って本気で噛みつこうとしたり、キャンと鳴いて痛がる
- 耳の中から、黄色や緑色のドロッとした膿(うみ)が溢れ出ている
- 頭が常に片側に傾いたままになっている(斜頸:炎症が奥の内耳や脳にまで達している恐れがあります)
- コーヒーの粉のような黒いカサカサした耳垢が大量に出て、猛烈に痒がっている(「耳ヒゼンダニ」という寄生虫が耳の中にわいている可能性が高く、特殊な駆虫薬が必要です)
動物病院では、耳鏡(じきょう)という専門の器具を使って鼓膜に傷がないかを確認し、耳垢を顕微鏡で調べて「細菌」「カビ(マラセチア)」「寄生虫」のどれが原因かを特定した上で、適切な抗生物質や抗真菌薬を処方してくれます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 家にあるオリーブオイルやベビーオイルを綿棒につけて耳掃除をしてもいいですか?
A1. 絶対にやめてください。オイル分が耳の中に残ると、それが耳垢と混ざり合ってさらに頑固な脂汚れとなり、マラセチア(カビ)の栄養源になって外耳炎を爆発的に悪化させます。必ずサラサラとした、揮発性(乾燥しやすい性質)のある犬専用のイヤークリーナーを使用してください。
Q2. 耳を痒がっているので、以前病院でもらった古い点耳薬をさしても大丈夫ですか?
A2. 非常に危険ですのでやめましょう。ひと口に耳の炎症といっても、原因が「細菌」なのか「カビ」なのか「ダニ」なのかによって効く薬が全く異なります。原因に合わない薬をさし続けると、かえって症状がこじれる原因になります。また、万が一炎症によって鼓膜に穴が開いている(鼓膜穿孔)状態で点耳薬を流し込むと、薬液が奥に侵入して難聴や神経症状を引き起こすリスクがあります。必ずその都度、獣医師の診察を受けて新しい薬を処方してもらってください。
Q3. トリミングサロンで「耳毛抜き」を毎回してもらうべきですか?
A3. 犬の体質によります。耳毛が多い子は抜くことで通気性が上がりますが、肌が極端に弱い子の場合は、毛を強引に引き抜く行為そのものが皮膚への強い刺激となり、そこから外耳炎を発症してしまうケースもあります。最近では「抜かずにギリギリのラインでハサミでカットする」方針の病院やサロンも増えていますので、愛犬の耳の赤み具合を見ながらトリマーや獣医師と相談して決めましょう。
まとめ
愛犬の耳は、外から見えない奥深くでトラブルが進行しやすいデリケートな場所です。
- 耳を頻繁に掻く、頭を激しく振る、酸っぱい臭いがするのは外耳炎の初期サイン。
- 自宅でのケアは「綿棒は使わず、洗浄液を注いでクチュクチュもみ洗い」が基本。
- 掃除の頻度は月に1〜2回で十分。やりすぎは皮膚を傷つけて逆効果になる。
- 激しい痛み、黒い耳垢、黄色い膿、頭の傾きが見られたら、重症化する前に速やかに動物病院へ。
普段からスキンシップのついでに耳の裏をめくって「臭い」と「赤み」をチェックし、トラブルの早期発見を心がけてあげてくださいね。
🐾 愛犬・愛猫ケアのミニクイズ!
Q. 犬が後ろ足で一生懸命お耳を掻いたあと、その足の爪をペロペロと念入りに舐めていることがあります。この行動にはどんな理由があるでしょう?
- A) 単に足先についたゴミを掃除して綺麗にしているだけ
- B) 耳の中にわいたカビや細菌の「酸っぱい・独特な匂い」が気になって確認している
- C) 足の裏を舐めることで、耳の痒みを紛らわせるリラックス効果がある
【正解】 B) 耳の中にわいたカビや細菌の「酸っぱい・独特な匂い」が気になって確認している
【解説】 犬は嗅覚が非常に発達した動物です。外耳炎になると耳の中でマラセチア(カビ)などが繁殖し、独特の強いニオイを放ちます。犬が耳を掻くと、足の爪にそのニオイ成分やベタついた耳垢が付着するため、犬は「なんだこのニオイは?」と気になって、掻いたあとの足を熱心にクンクン嗅いだり舐めたりする仕草を見せます。もし愛犬が「耳を掻く動作」と「そのあと足を執拗に舐める動作」をセットで行っていたら、お耳の中で菌が繁殖している可能性がとても高いですよ。
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参考情報
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